鳥取から湯原温泉へ
お墓参りで鳥取へ行く「ついで」と言ってはなんだけれど、せっかくなので足を伸ばしていくつかの場所へ行ってみることにしたこの旅。お墓参りを終えて最初に訪れたのは、以前泊まった三朝温泉のさらに奥、鳥取と岡山の県境あたりにある湯原温泉。
そこは露天風呂番付で西の横綱に格付けされる温泉で、自分が小学生の頃を過ごした岡山県の温泉っていうこともあってすごく気になっていた場所。にも関わらず、わざわざそこに出向くという理由が見つかりにくい場所だったりもして…
写真はその道中のもの。夏の日本海、青くて白い砂浜とのコントラストが綺麗。鳥取というか、たぶん山陰地方はイカが結構取れるみたい、大きくて新鮮なイカは美味そう。で、地産地消ってことで地元ならではの食材をふんだんに使ったカレーライス。イカに焼ちくわにたくさんの野菜が入ったもの、こういうのは嬉しい。
海岸線を離れると、田園風景がすぐに広がるっていうのも個人的に結構好き。海から振り返ると山があって、そっちの方に少し向かうだけでこんな感じの景色が広がる田舎な感じ。草いきれに田舎らしい夏を感じて、ちょっと懐かしい感じになっていたのは自分だけかもしれないけど(笑)。
湯原温泉
さて、湯原温泉。川に沿った湯原温泉の温泉街を上流の方に歩いていくと、八景というホテルにつながる吊り橋の向こうに大きなダムが見えてくる。良く見ると、そのダムの直下から吊り橋の下くらいまでの川面から湯気が出ている。それも、ダムの直下あたりの湯気の出方は半端ではない。夏の時期にコレだけの湯気が上がるということはかなりの温度の湯が川底から湧き出しているってことに違いない。期待も膨らむ。と、その川岸の右側に大きな露天風呂がいくつか見えた、どうやらコレが有名な砂湯らしい。
砂湯という石碑の下に 3つの湯船が見えて、その右側に脱衣所がある。大きな 3つの湯は、それぞれ「子宝の湯」「美人の湯」「長寿の湯」と名がついていた。子宝の湯の底からはぷくぷくと泡が出てきていて、川面の湯気のことを考えると温泉が直下から湧き出しているのだと思う。無色透明のお湯で肌に優しい感じ。あがってタオルで拭くとしっとりとした感じが残る湯で、美肌の湯とも言えそうな感じ。夕方になると対岸の八景という宿の柔らかな明かりと、水面の湯気もあいまって、なかなか風情があっていい感じ。すぐ目の前に大きなダムができて、この露天風呂の風景は一変したに違いないと思うのだけれど、温泉をつぶさずに残したことは素直に良かったなぁと思える。そう思うと、目の前にそびえるダムの壁もまた、湯原温泉らしさといえるのかも知れない。
お世話になったのは、くつろぎの宿 輝乃湯(楽天)。最初の 2枚の写真は宿にあるお風呂の一部。肌がしっとりするのはなんでだろうと宿にあった温泉分析表を見ると、弱アルカリ性単純泉とあるのでなるほどと思う。また何より驚くのはなかなか湯冷めしないこと。これは夏だからということではないようで、冬でも湯冷めしないために冬場はかなり冷えるマッサージチェアのコーナーでも随分と長い時間を過ごす人が多いのだとか。このお宿は、料理が充実していてかつきちんと適温で最も美味しい状態で食べてもらうことに心がけているようで、揚げ物はその場で揚げてくれるなどの気遣いがあって嬉しかった。
泊まったわけではないのだけれど、砂湯の近くにある元禄旅籠 油屋(楽天)もなかなか雰囲気のある感じでいいなぁと思った。
蒜山高原・大山
朝、あいにくの雨。蒜山高原で牧場を見たり乗馬なんてことを考えていたので、ちょっと残念。とりあえず車を牧場で止めてみると、馬が放牧されている風景を見ることができたりするし、室内でも乗馬ができるなんてあるけど、晴れた空に緑の牧草がある中じゃないと気分ものってこない…
それはそれとして(笑)、牧場で見つけた飲むヨーグルト。2種類あって、一つは飲みやすく香料を加えたあっさりタイプ、もう一つは写真のコレで生乳から作った濃厚なタイプ、これがビックリするほど美味しい。その後、何でもっとたくさん買っておかなかったんだろうなんて話を奥さんとしてたんだけど、今時はやっぱりネットで買えてしまうんですね。
大山寺は奈良時代に開かれたといわれていて、当時西国の天台宗の中心となった大きなお寺。戦国時代に山陰で活躍した尼子や毛利、吉川氏などが深く帰依したけれど、その後の戦乱でお寺も衰退の一途を辿ったのだそう。この後訪ねる出雲大社もそうなのだけれど、牛が大切にあがめられるようで、ココにいる宝牛は一つの願いを思いながら撫でるとその願いが叶うといわれていて、しっかりお願い事をしてきました。頭とお尻の部分が良く撫でられるのか、青緑色が取れて茶色になっているのが印象的。
蒜山高原から大山をぐるりと回って日本海側に出てくると、少し晴れ間が見えてきた。そんな中で立ち寄ったのが「大山まきばみるくの里」。コスモスの向こうに放牧された牛、そしてその向こうに大山。取りきれない雲が恨めしい感じではある…。弓状になった海岸線を遠くにして広い芝生の広場があって、子供達や家族連れが遊んでいて、なんだかすごく気持ちがいい場所。また当然、乳製品がたくさん置いてあって、定番の濃厚なソフトクリームを美味しいなぁと時間を過ごすのは最高。お店にはスモークチーズが置いてあって、それはそれは美味そうだったのだけれど持ち帰るにはまだ日程があるし、かといって送ってもらうのはちょっと面倒ってことであきらめた。青空があったら、さらに良かっただろうなぁとは思う。
松江
松江で楽しみにしていた「ぐるっと松江堀川めぐり」は、今朝の雨のためか運休。松江についた 3時ごろには雨はもう降っていなかったのに…。この堀川めぐりは、松江城や武家屋敷がならぶ風情ある街並みをぐるりと 50分くらいかけて巡る遊覧船で、一部の橋では屋根を下げて乗客も頭をできるだけ低くししないとくぐれないような場所もあったりして…という話だっただけに残念。
それでもぶらぶらと松江城までお散歩。岡山の烏城などと並んで白い壁がほとんどないお城は、武骨で引き締まった印象があって美しい。それは色だけでなく均整の取れたその形からも感じられて一目ぼれ。お城の中には、だいたい決まって他のお城の写真がずらりと飾られていたりするのだけれど、ココもそう。なので比べてしまう(笑)。で、やっぱりこの天守閣は美しさが際立っている気がする。
武家屋敷が並ぶ塩見縄手という通りは、松江城を取り囲むに相応しく質素でありながら質実剛健とでもいう雰囲気を醸していて、なかなかいい感じ。中に入ることができる武家屋敷は、江戸時代初期の頃から、松江藩の六百石程度の中級藩士が住んでいたというもの。
また、この塩見縄手には小泉八雲の旧居がある。記念館には直筆の原稿や遺品や関係資料などが置いてあるの。この人は、文部省の紹介などで島根の学校の英語教師となり、松江の風物や人情が気に入って、小泉セツという人と結婚して武家屋敷に住むのだけれど、あまりの寒さに閉口してたった 1年3ヶ月で松江を後にして熊本に行ってしまったとある。松江は小泉八雲のゆかりの地としているが、ちょっと微笑ましい感じもする(笑)。
皆美館
松江しんじ湖温泉 皆美館(楽天) は宍道湖に面した歴史のある宿で、平成19年5月にリニューアルしたばかり。松江の市街地からすぐの利便性に加えて、宍道湖を目の前にした抜群の眺めを楽しむことができる。文豪が愛したというその宿には、歴史ある雰囲気が楽しめる和室の部屋と、和モダンな雰囲気を楽しむことができる和洋室、そして日本庭園を独り占めできる離れがある。
泊まったのは明星というお部屋で、6畳強あるベッドルームに6畳の和室、さらに大きなソファーに座ると目の前の大きな窓の向こうに宍道湖が見える(というより、部屋が宍道湖に浮いているように感じる)リビング、そして同じ眺めを楽しむことができるお風呂。お湯は近くの松江しんじ湖温泉から温泉を引いているので快適この上ない。
リビングや寝室のテレビには AQUOS それから Marantz のオーディオセットなどが配され、アメニティや家具などにもかなりのこだわりが感じられる。それらに加えて、部屋にいながらにして温泉を楽しめるというのが思った以上に快適で、そのお風呂からは宍道湖の眺望と同時に部屋にあるテレビも見ることができて贅沢この上ない時間(笑)。
先付: 海鮮サラダ
前菜: 旬の味覚盛込み
小鍋立て: 鰻沢煮仕立て
造り: 三品盛り
焼物: 鱸ぴり辛そーす
焚だし: 冬瓜渡り蟹餡掛け
強肴: 和牛野菜巻き
食事: 冷しうどん
香の物: 三品
デザート: パレット盛り
となっていました。あっさりと上品な味付けのものが多くて、量は少し少なめで女性向きな感じ。自分はあまり量を食べるほうでもないので、コレでちょうどいい感じ。宍道湖と言えばのシジミ汁は朝ごはんに供されました。
朝は見事な日本庭園を見ることができる食事どころで、松江七代藩主・松平不昧公が愛好したという汁かけ御飯から考案したというこの宿伝統の家伝鯛めしをいただく。これが優しい味で美味、あわせていただくおぼろ豆腐との組み合わせもいい感じ。朝ごはんを食べたあと、お部屋でノンビリお風呂に入って一服してからゆっくりチェックアウト、非常に満足度の高いお宿でした。
出雲大社
駐車場を降りてちょっと歩くと、唐突に見えてくるのがこの有名な大きなしめ縄。参道も何もあったものではなく本当に突然。しめ縄がある場所が「本殿」では無いというだけなんだけど、知らないと意外とビックリすると思う。しめ縄の下の部分に 10円玉とかを投げてささると良いとかいうことなのか、たくさんの小銭が突き刺さっていて、たくさんの人が挑戦していた。自分も 3度目くらいで成功…ってそんなにやっちゃ意味がなさそうだけれど(笑)。
雨が降ったりやんだりで、本殿の向こうの山から上がる水煙がいっそうココの荘厳さを強調するようだった。ただ大きいというだけでなく、苔むした屋根などが醸し出す歴史ある雰囲気が良い。それにしても、一体どれだけの人がおみくじを引いてるんだろうっていうくらい、たくさんのおみくじが結ばれていたのが印象的でした。
で、大山寺と同じく青銅の牛。牛を大切にする信仰があるのかな? それから、お昼には出雲そば。おつゆを上からかけていただく。ウズラ卵がのっていたのがやたらと美味しかった。これ、家でも手軽にできそうだから試してみようと思う。
石見銀山
自分にとって石見銀山は、行ってみたいと思っていた鄙びた温泉津温泉の近くで唐突に世界遺産に指定された観光地というイメージが強い。ノンビリと見て周る時間が無く、かいつまんで見た感じ。産業遺産としての世界遺産を見るのであれば、ノンビリと精錬所や間歩と呼ばれる坑道を見られたら良かったのかもしれないけど…
羅漢寺、ここには温泉津の石工たちが二十年もの歳月をかけて彫像した五百羅漢像が安置されている。ここに来れば、様々な表情や姿勢をしているお釈迦様の弟子である五百羅漢の像の中に、亡くなった人に近い姿を見つけることができるということで人が集まったのだとか。残念ながら、五百羅漢は撮影禁止だったので写真はないのだけれど、崖に作られた壕の中に様々な表情を見せる像がたくさんある様は、なかなかの見ごたえ。
バスに乗って、石見銀山で現在タダ一つ中に入ることができる龍源寺間歩へ。坑道の中に入るとひんやりと寒い。ここには、ノミで掘り進んだと思われる跡がそのまま残っていたり、また坑道の脇にところどころ銀の鉱脈に沿って掘り進めたと思われる穴があったりする。また、当時の様子を絵で書き残した資料などが坑道の最後の場所に展示されていて往時の大変さを偲ばせる。龍源寺間歩以外にも、いくつもの間歩があるのだけれど、ここしか中に入れないというのはちょっと残念な気がする。また、地元のガイドさんを頼むことができるようなのだけれど、それがもう少し充実したら良いだろうなとも思った。
意外と面白いと思ったのはその銀山で栄えた商家の暮らしぶりを伝える重要文化財の熊谷家住宅。酒造業や鉱山業などを行うと共に、代官所に収める年貢銀を秤量・検査する役目、幕府直轄領だった石見銀山の支配の一部を担う郷宿や代官所の御用達などを務めたそうでかなりの有力な商家。家の中は、その何でも屋っぷりが実際に感じられて面白い。やたらと大きな台所は、おそらく多くの客人を迎えるために必要だっただろうし、居間の床下に設けられた 4畳ほどの広さで高さが 3メートル近くもある地下蔵も、代官所に収めるものや、何か秘密にする必要のあるものを収納していたのかなと思わせる。
また、銀山を支えた街並みもなかなか風情があってよい。世界遺産に登録されたことで、大きな変化が起こってしまうようなことも無く、このままの風情を保ち続けてくれれば良いなぁと思う。
温泉津温泉
温泉津温泉(ゆのつ温泉と読みます)は、石見銀山の銀の輸出港でもあった温泉津港から山側に伸びる一本道にひっそりと佇む鄙びた温泉で、石見銀山を見に行くというよりは、ココに来たくて石見銀山に立ち寄ったと言ってもいいかもな自分だったわけです(笑)。最近どの温泉でも見られるようになった温泉協会の評価で、全国でも数少ない オール 5 の認定をされている湯元薬師湯があるので、温泉&鄙びた温泉街好きにはたまりません。
茶褐色のお湯は源泉の温度が 50度をちょっと下回る程度で、かなり熱めのまま短い時間何回かにわけて入るのが地元の人たちの流儀のよう。周りにこびりついた析出物が実にスゴイ…。地元のおじさんと話をしながら入っていたのだけれど、その人はかかとをこの析出物でごわごわになった床にこすり付けて、硬い部分をけずっているようだった(笑)。飲泉も可能なのだそうで、糖尿病をはじめ様々な疾患に効果があるとのことなんだけど、塩味にダシのような味があってなんだか結構美味しいので普通に味わって飲めてしまうのが面白い。よく温まるお湯で、冬の寒い時期にじっくりと入ってみたいと思わせる。
夜は柔らかい明かりに照らされて、実に雰囲気がある。公共の湯である元湯も薬師湯も夜の 9時ごろまでやっていて、地元のおじさんやおばさんが入りにきているようだった。最後の写真は、温泉街にしては珍しく、ただ一軒だけに見えた温泉饅頭&温泉煎餅のお店。焼きたての温泉煎餅を味見にいただいたんだけど、あまりにも美味しくてお土産に購入。
翌朝、温泉街を出て沖泊という港までちょっとお散歩。このあたりはリアス式海岸になっていて、沖泊もそんな深い入り江と水深に恵まれた天然の良港。この港の入り口にあたる北と南の山にはかつて城があって、毛利氏がその水軍の拠点としても使っていたのだとか。現在も沖泊には小さな集落があって古い建築が残っている。中でも、港を望む場所に建つ恵比須神社(2枚目の写真)は、1526年に建立されたとのことで、なんとも鄙びた雰囲気を醸しだしている。
しまね海洋館 AQUAS
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ずーっと雨だったこの旅行の最終日も結局雨。広島に抜ける山道は土砂崩れの危険があるかもということで、浜田自動車道を通るコースを選び、その途中で寄ったのがしまね海洋館 AQUAS。シロイルカとダイバーの水中パフォーマンス、なんだかすごくカワイイ。普通のイルカに比べると、ちょっと動きも鈍く頭も悪いのかなぁと思わせる風貌なんだけど、子供の合図に合わせてくるくる身体を回転させたり、バブルリングを作ってみせたり。ちょっと驚いたのはその身体の「柔らかさ」。ダイバーが頭の部分を触ると、ぷにぷにふにゃふにゃと揺れる感じ。う〜ん、触ってみたい(笑)。
島根県の県のお魚は「トビウオ」。そもそも、県の魚なんてものが指定されていること自体知らなかったけど、この魚が水中で泳ぐ姿も初めて見た。飛んでる姿は船の上とかから何度か目にしたことがあるんだけど、水中の姿がやたらと可愛らしい。こんな風にヒレを広げてノンビリと水中飛行って感じ。クラゲも刺されると痛いトンでもないヤツだけど、こうやって見ていると優雅に泳ぐその姿はなかなか美しい。
