熊野古道に行ってみよう

アドベンチャーワールド断念

ゴールデンウィークであることを忘れていたわけじゃないけど、南紀白浜へ向かう道は田辺市から全く動かなくなってしまったので、アドベンチャーワールドを諦めて宿のある南部に海沿いの道でもぶらぶらしながら引き返そうってことになって見つけたのがこのたくさんの鯉のぼり。

場所は田辺の扇ケ浜。3台のクレーン車が目に入らなければもっと風情のある感じなのかも知れないけど、それでもなかなかのいい景色。海辺を散歩したり楽しんでいたら、クレーンが首をもたげ始めたので、どうやら片付けるらしい。うちの子供も、近くまでおりてきて目の前で風に大きく揺らぐ鯉のぼりにちょっと興奮気味。

白浜に行けなかったのはちょっと残念だったけど、時期を考えたらしょうがなかったかな。

熊野古道を散策

熊野古道が世界遺産に指定されたことはもちろん知っていたのですが、熊野古道がどういうものかよく知らずにやってきていました。どうやら熊野本宮に至る中辺路・大辺路・小辺路・大峰奥駈道など熊野詣をするための様々なルートがあり、「熊野古道を歩く」というのがそれ全部を歩くなんて事になったらとんでもない距離であることようやく知りました。そのルートの一つ中辺路の入り口が写真の滝尻王子。

ガイドブックにも「霊域の入り口滝尻王子から天空の眺め高原霧の里へ」なんてルートが全行程 2時間10分のコースとして紹介されていたので、その滝尻王子の社殿の裏から始まる道に入ると結構というか子供を抱えて登るにはかなりキツイ道。巨石の隙間を通り抜けることができたら女性は安産になるという「胎内くぐり」と「乳岩」というのを見るところまでで、子供を連れて戻ることも考えて引き返しました。本格的な登山の格好をした人たちが結構いたところを見ると、ここから数十キロも先にある熊野大社まで歩いて行くのかなぁって思うのですが、ずーっとこんな道だとしたら大変かも。

国道311号が、熊野古道の中辺路沿いに走っているので車を走らせて途中で気になる場所に立ち寄るなんてことが可能なのはお手軽でありがたいところ。近露王子と呼ばれる場所のすぐ近くにあった箸折茶屋でちょっと一服。ヨモギを練りこんだうどん、高菜の塩気とくるみの食感が美味しい目張り寿司に、切り干し大根を使った箸折にぎり、どれも美味でした。茶屋には足湯があるのですが、ここのお湯がかなり面白いお湯で「ぬるぬる」。美肌の湯で知られるお湯なのだそうで、近くに実は公衆浴場があったようで、温泉好きとしては見逃したのが残念。

熊野古道を旅するとおそらく必ず目にする「王子」。様々なパンフレットや本にも普通に見所として紹介されているので、実際にいくつかの「王子」を訪ねるとそれが神社のような建物があるものだったり、何もなく単に碑が残るだけであったり。そもそも「王子」って何?って言うのがわからず気になりつつも、結局旅行中はわからずじまい。後から、九十九王子のページを見てようやくなるほどと納得。要するに非常に長い道のりになる熊野詣の参詣途中で、その無事を祈る儀礼を行う場所のことのようで、その成り立ちも元々存在する諸社を「王子」と認定していったことから様々な形態のようです。そして、今回の旅路は、田辺から中辺路を通って熊野本宮へ至り、さらにそこから小辺路に沿うような形で高野山参りをするという旅だったのですが、後から振り返ると「王子」は中辺路だけに限られるものでした。

近露王子からなだらかな旧道をしばらく行くと、熊野古道に入る階段があるので入っていくと小さな近露の里が目の前に広がります。熊野詣をした昔の人が見た眺めもこんなだったのかなぁと思ったりします。滝尻王子の登山道のような道に比べればずっと楽な道でしばらく行くと牛馬童子の可愛らしい像が見えてきます。本当に小さくて可愛らしい像で、思わずしゃがんでお参りをしたくなります。

昔の人はおそらく何日もかけて中辺路を歩いて目指した熊野本宮、この日は子供の日が近かったこともあり八咫烏をあしらった鯉のぼりらしきものが出迎えてくれました。そう、自分も全く知らなかったのですが八咫烏って熊野の神々の使いだったのですね。初夏の緑が気持ちの良い中を登って行くと檜皮葺の屋根が非常に美しい熊野本宮の社殿を見ることができます。本宮の入り口には、しめ縄で作られた八咫烏の飾りがあったのが印象的でした。

渡瀬温泉 ささゆり

熊野本宮の社殿の脇にあった八咫烏のポストなんかを見ながら、向かったのがこの日の宿の渡瀬温泉。熊野には熊野詣をした人たちの疲れを癒す温泉いくつかあって、「つぼ湯」で有名な湯の峰温泉、川底から湯が湧き出るユニークな川湯温泉、そして西日本最大級という露天風呂を要する渡瀬温泉が本宮温泉郷と言われる温泉好きにはたまらない(笑)場所をつくっています。

ささゆりは静かな渡瀬温泉にあるホテルの一つで、吊り橋をわたって行けるわたらせ温泉大露天風呂も利用可能。写真は4つある貸切の露天風呂の一つで、これとは別に非常に大きな露天風呂もあって湯量の豊富さに驚きます。ちょうどこどもの日ということもあり、ホテルの館内の貸切風呂の方には菖蒲が入れられていました。

ささゆりでのご飯がなかなかに美味しかったので、ざざっと並べてみました。よもぎのおまんじゅうの餡かけや、洋食のお皿が一品出てきたのもアクセントしていい感じでした。朝食に出された温泉粥も美味でした。

温泉巡り

奥さんと子どもがまだ寝ている早朝、ホテルを抜けだして近くの湯の峰温泉を訪ねてみることにしました。まだ6時ちょっとというのにちらほら人の姿がある湯の峰温泉。もうもうと湯気を上げる湯筒と隣にある東光寺のお寺なんかを見ていると、その先に有名な「つぼ湯」があるのを発見。どうやら公衆浴場で申し込みをするようにとあるので行ってみると、すでに4人待ちで 2時間待ちとのこと。30分交代での貸切入浴にも関わらず連日並んででも入る人でいっぱいで、後ろに待っている人がいるというプレッシャーからかみな30分未満で上がってくるのだそうで、訪ねた前日も 40人入っていきましたという話を番頭さんがしてくれました。

つぼ湯は諦めて、一般湯というのに入ってみました。一番風呂だったのもあって気持ち良く風情のある木造りのお風呂を楽しむことができました。風呂上りにぶらぶらしていると、卵を湯筒でゆでている人がいました。また、この湯の峰温泉から大日峠という峠を越えて熊野本宮へと至る熊野古道も発見、そんなに遠くないことが分かっていたので、一瞬歩いてみようかと思ったものの山を越えるのもあって諦めちゃいました。

山越えの散策を諦めたかわりに向かったのが川湯温泉。自分が随分と小さな子供だった頃に、祖母が新宮から那智大社に連れて行ってくれたことをはっきりと覚えていて、そこで川原に湯がわく温泉で随分と楽しく遊んだ覚えがあったので、おそらくそれがこの川湯温泉だろうなぁというのを漠然と思いながら訪ねると、面白いくらいに記憶とぴったりと一致。ただ、当時の記憶の光景を随分と小さくしたようなイメージ。

川原からはもくもくと湯けむりが上がっていて手を入れてみると本当にちょうどいい湯加減。しかし、誰もいないここで素っ裸になってお湯に入るのはさすがに無理(笑)。水着でも持ってきていたら楽しく遊べる感じですかね。それともみんなこんな開けっぴろげなところで裸で入浴するのかなぁ…。開放感があって気持よいのは間違いないのですが。

十津川村

奈良県十津川村、何があると知るわけでも無いのに一度訪ねてみたいとずっと思っていた場所の一つ。十津川村は日本で一番大きな村でその大部分が深い山林で占められていて、熊野本宮から吉野山に抜ける古道の一つ大峰奥駈道と高野山からの熊野参詣道となる小辺路がその広い村内を抜けていたりします。道中よったお店では柚子のお菓子や羊羹などが売られていて、とても美味。至る所に温泉もあるようで、道の駅には足湯がありました。

谷瀬の吊り橋は、おそらくこの村を有名にしている観光名所の一つ。もともとこの吊橋を訪ねようとしていたわけでは無いのですが、道中ずーっと現れる看板が気になって見に行ってみたという感じだったのですが、来てみて正解。川面からの高さは50メートル以上その長さ約300メートルの吊り橋で、深い山にすーっとひかれたその美しい姿とは裏腹にかなり揺れるので高所恐怖症の人にはかなり厳しい感じの吊り橋です。自分はそうではないのですが、踏み板が結構しなるので、そのまま足が抜けちゃうのではという怖さと、橋の真ん中付近は両サイドの網が自分の身体よりも低い場所に来ることもあって、スリル満点。

山上の聖地 高野山

高野山が標高900メートルという高地にあることを知らずにいたので、到着したときに感じた涼しい空気にちょっと驚きました。多くの寺院が静かに立ち並ぶ街並みの雰囲気と、凛とした冷たい空気がいい感じにマッチしている感があります。見事な庭園を持つ金剛峯寺ではまだ桜が咲いていました。

歩いていて気になったのはあちこちで売っていた「こうやまき」、何に使うんだろう…。そして、今回の旅でちょっと楽しみにしていたのが、高野山の宿坊に宿泊すること。今回お世話になったのは、この近辺で唯一温泉を楽しめる福智院というお寺さん。お寺の門をくぐると見事な庭園と風情のある入口になんかちょっとわくわくします。

見事な庭園を望むことができるお部屋で、まだまだ朝晩の冷え込みが寒いためかこたつがおいてありました。高野山には一般の宿泊施設がないため、こうしたお寺さんがやっている宿坊が結構な数あるようで、お寺の中におみやげを扱う小さな売店があったり、しっかりとした温泉施設が作ってあったりとわりと快適に過ごせるようになっているようでした。寒いくらいな日だったので温泉はありがたく、また子どもがいるので畳敷きの温泉はすごく助かりました。

お寺でのお食事なので、当然夕ごはんは精進料理。お膳を部屋に持ってきてもらっていただく形でした。お寿司やお刺身を模したものにはこんにゃくやグルテンを使ってしっかりとした食感を楽しめるようになっていて、豆乳を使ったお鍋や季節の天ぷらなど含めて結構なボリュームでお腹いっぱいになったのが意外と言えば意外でした。きっとかなり手間をかけないとこういうお料理は作れないのだと思うのですが、こういう食事を日々の食事に取り入れることができたらいいなぁと思ったりします。

お寺の中を夜歩くという経験はなかなか貴重なものでした。部屋の明かりが落とす石庭への影やだれもいない大広間など、静寂な空間にぽつんと自分だけがいるという感覚はなかなか不思議なものです。翌朝は 6時前に起きて朝の勤行に参加、大げさなものではありませんが、朝のひんやりとした空気の中でお香の香りとお経を聞きながら家族の健康なんかをお祈りするというのもなかなかいいものでした。福智院は井伊家とのゆかりが深いお寺なのだそうで、井伊大老の遺品があったり、今もなお多くの信者さんが彦根にいらっしゃるという話でした。

翌朝向かったのが壇上伽藍。弘法大師が高野山の造営をここから始めたという場所。2015年に高野山は開創1200年を迎えるとのことで、それを記念して再建される中門の跡の向こうに見えるのが高野山の総本堂の金堂。この日も多くの修行僧がいました。鮮やかな朱色がまぶしい建物は根本大塔、元々は887年頃に完成したもので、現在の建物は 1937年に再建されて1996年に外壁の塗り替えが終わったということで、その色の鮮やかさが際立つのもなるほどという感じ。この他にも御影道、東塔、西塔などなど密教の思想に基づく多くの建物が立ち並んでいました。

関空への戻り道に…

高野山を関空方向に降りていく場所にあるのが根来寺。根来寺というと紀州雑賀の鈴木氏とともに信長や秀吉と戦った根来衆というイメージが強く、どういう場所なのか一度見てみたいと思っていた場所の一つでした。ゴールデンウィークの最中でしたが訪れる人も少なく静かな場所で、秀吉が紀州征伐をかけたときにもその焼き討ちから何とか逃れたという国宝の大塔の質素で美しい造りには思わずため息が出ます。

根来寺の住職の住む住坊には国の名勝として指定される庭園があり、そこも見学することが可能でした。根来寺ですが、お寺で頂いた案内には、寺領72万石にまで栄え、また警護のために僧兵の勢力が強大になったが故に秀吉に恐れられ天正13年の根来攻めで多くの建物が焼失したという簡単な記述があるだけで、雑賀鈴木氏との関係や根来衆そのものについての説明があまり見られなかったのがちょっと意外というか残念でした。とはいえ、静かに佇む美しい大塔は一見の価値ありという感じです。

最後の立ち寄ったのが和歌山城。こちらの天守閣は 1846年に落雷で焼失したが、紀伊徳川家の居城であったこともあって当時許されなかった城郭の再建が許されて新たな天守が 1850年に完成したもののそれも戦争で焼失してしまい、現在のものは 1958年に和歌山市民の熱意で 1958年に鉄筋コンクリート造で再建されたものだとのことです。当時のものがそのまま残っていることがベストであるには違わないけど、街から天守閣が眺められるというのはなかなか良いなぁと思います。

あまり下調べもせずにフラリと出かけた旅でしたが、様々なものを見たり体験できてなかなか充実した旅でした。

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